紫外線硬化装置(以下UV装置という)とは、プレポリマー、モノマー、光重合開始剤、顔料などからなる、いわゆる光硬化形塗料、インキ、接着剤などに光、特に紫外線を照射することにより、これを硬化(重合)させることを目的とする装置である。
紫外線は電磁波の1種で、波長が40~400nm(1nm=10Å)の範囲のものをいう。200nm以下の紫外線は空気中の酸素に吸収させるため、空気中では実用が不可能であり、実用できるのは200~450nmの波長域と考えてよい(400nm~450nmの可視光も効果がある)。紫外線にはいろいろな作用があり、その代表的なものを表1に示した。UVシステムに利用されている作用は、光化学作用である。
紫外線の利用に際して留意する点は、200nm以下の波長による、オゾンの発生と200nm~300nmの波長による、目および皮膚に対する障害である。オゾン濃度の職場内における安全基準は0.1ppm以下にすることが推奨されている。普通0.01ppm程度で臭気を感じるので、臭気を感じない程度であれば問題ないと考えてよい。目および皮膚に対する障害は波長が短かい程、その作用が大きいが、いずれにしても紫外線は危険であるので十分な注意を要する。
1.紫外線硬化装置の概要

【表1 紫外線とその作用】
2.UV装置の構成
UV装置は光源、照射器、冷却装置、電源装置、その他の機器などから構成されており、それらの関係は図1のようになっている。

【図1 UV装置の構成】
2-1 光源
UV装置の心臓ともいうべき光源(以下ランプという)については、第3節でくわしく述べられるので、ここでは現在実用されている代表的なものについてのみ述べる。
(1)空冷形一重管式高圧水銀ランプ
空冷形一重管式高圧水銀ランプ(以下空冷形水銀ランプという)は、図2に示すような構造のランプであり、石英ガラス製の発光管の中に高純度の水銀(Hg)と少量の希ガスが封入されたもので、現在もっとも多く使用されている。発光管に使用されている石英ガラスには、通常の石英のものと少量の不純物を含ませた石英の2種があり、後者は200nm以下の波長をカットしてオゾンの発生を少なくすることが目的で使用されているが、実際には、300nm以下の紫外線も約13%カットするため、通常の石英を使用したランプにくらべて、約30%硬化能力が低下する。したがって事情の許すかぎり、通常の石英を使用したランプを使用する方が経済的であり、被照射物(以下ワークという)の温度上昇も少なくてすむ。ランプ入力1KW当り1m2/分の強制排気を行った場合、その排出口でのオゾン濃度は通常の石英を使用したランプでも0.05ppm程度である。
水銀ランプの分光エネルギー分布は図3に示すとおりで、紫外域におけるエネルギー変換効率は約23%である。ランプは下記の範囲で実用化されている。
ランプ入力 60,80,120,160W/cm
発光長 50~2500mm

【図2 空冷形ランプの構造】

【図3 水銀ランプのエネルギー分布】
注)点線はオゾンレスタイプ
(2)空冷形一重管式メタルハライドランプ
空冷形一重管式メタルハライドランプ(以下空冷形メタルハライドランプという)の構造は水銀ランプとまったく同じであり、電気的特性もほぼ同じであるが、発光管の中に封入されている金属が水銀ランプの場合の水銀に加えて、450nm以下の可視光および紫外線を効率よく発生する金属のハロゲン化物を封入したランプで、現在2種のランプが市販されている。
これらのランプは図4、図5に示すような分光エネルギー分布を有している。メタルハライドランプAはガリウム(Ga)のハロゲン化物を添加したランプで、400~450nmの範囲にエネルギーが集中しているのが特徴で、エナメル塗料の硬化に有効であると報告されているが、発光長の長いものが製作できないこともあって、UVシステムでの実用例は少ない。
メタルハライドランプBは鉄(Fe)、銀(Sn)のハロゲン化物を添加したランプで、250nm~450nmの範囲に連統したエネルギーを有しており、紫外線域でのエネルギー変換効率は、約28%と水銀ランプの約1.2倍である。実用面では、比較的厚い膜(数mm)でも均一に硬化でき、又顔料の含まれた厚い塗膜に対して有効であることが立証され、実用例がふえている。
メタルハライドランプの前記排気風量でのオゾン濃度は0.02ppm程度である。
メタルハライドランプBは下記の範囲で実用化されている。
ランプ入力 60,80,120,160W/cm
発光長 50~2500mm

【図4 メタルハライドランプAのエネルギー分布】

【図5 メタルハライドランプBのエネルギー分布】
注)点線はオゾンレスタイプ
(3)水冷形水銀ランプおよびメタルハライドランプ
これらのランプは(1)、(2)項で述べたランプに、図6に示すような構造で、水フィルターをかぶせたもので、ランプに近接して低温物体があるため、強制空冷をすることなく、ランプを適温に保つことができ、水フィルターによりランプから放射される赤外線がカットされるため、ワークの温度上昇を低くおさえることができる。水冷形ランプではランプ入力の約6割が水によって除去され、ワークの温度上昇は空冷形にくらべて約1/2に減少するため、熱に弱い材料への応用に適しているが、紫外線も水銀ランプの場合約9%、メタルハライドランプの場合約7%カットされるので硬化効率は悪くなる。図7に水冷ジャケットの透過率、図8に温度上昇の1例を示す。

【図6 水冷形ランプの構造】

【図7 水冷ジャケットの透過率】

【図8 被照射物の温度上昇例】
2-1 光源
UV装置の心臓ともいうべき光源(以下ランプという)については、第3節でくわしく述べられるので、ここでは現在実用されている代表的なものについてのみ述べる。
(1)空冷形一重管式高圧水銀ランプ
空冷形一重管式高圧水銀ランプ(以下空冷形水銀ランプという)は、図2に示すような構造のランプであり、石英ガラス製の発光管の中に高純度の水銀(Hg)と少量の希ガスが封入されたもので、現在もっとも多く使用されている。発光管に使用されている石英ガラスには、通常の石英のものと少量の不純物を含ませた石英の2種があり、後者は200nm以下の波長をカットしてオゾンの発生を少なくすることが目的で使用されているが、実際には、300nm以下の紫外線も約13%カットするため、通常の石英を使用したランプにくらべて、約30%硬化能力が低下する。したがって事情の許すかぎり、通常の石英を使用したランプを使用する方が経済的であり、被照射物(以下ワークという)の温度上昇も少なくてすむ。ランプ入力1KW当り1m2/分の強制排気を行った場合、その排出口でのオゾン濃度は通常の石英を使用したランプでも0.05ppm程度である。
水銀ランプの分光エネルギー分布は図3に示すとおりで、紫外域におけるエネルギー変換効率は約23%である。ランプは下記の範囲で実用化されている。
ランプ入力 60,80,120,160W/cm
発光長 50~2500mm

【図2 空冷形ランプの構造】

【図3 水銀ランプのエネルギー分布】
注)点線はオゾンレスタイプ
(2)空冷形一重管式メタルハライドランプ
空冷形一重管式メタルハライドランプ(以下空冷形メタルハライドランプという)の構造は水銀ランプとまったく同じであり、電気的特性もほぼ同じであるが、発光管の中に封入されている金属が水銀ランプの場合の水銀に加えて、450nm以下の可視光および紫外線を効率よく発生する金属のハロゲン化物を封入したランプで、現在2種のランプが市販されている。
これらのランプは図4、図5に示すような分光エネルギー分布を有している。メタルハライドランプAはガリウム(Ga)のハロゲン化物を添加したランプで、400~450nmの範囲にエネルギーが集中しているのが特徴で、エナメル塗料の硬化に有効であると報告されているが、発光長の長いものが製作できないこともあって、UVシステムでの実用例は少ない。
メタルハライドランプBは鉄(Fe)、銀(Sn)のハロゲン化物を添加したランプで、250nm~450nmの範囲に連統したエネルギーを有しており、紫外線域でのエネルギー変換効率は、約28%と水銀ランプの約1.2倍である。実用面では、比較的厚い膜(数mm)でも均一に硬化でき、又顔料の含まれた厚い塗膜に対して有効であることが立証され、実用例がふえている。
メタルハライドランプの前記排気風量でのオゾン濃度は0.02ppm程度である。
メタルハライドランプBは下記の範囲で実用化されている。
ランプ入力 60,80,120,160W/cm
発光長 50~2500mm

【図4 メタルハライドランプAのエネルギー分布】

【図5 メタルハライドランプBのエネルギー分布】
注)点線はオゾンレスタイプ
(3)水冷形水銀ランプおよびメタルハライドランプ
これらのランプは(1)、(2)項で述べたランプに、図6に示すような構造で、水フィルターをかぶせたもので、ランプに近接して低温物体があるため、強制空冷をすることなく、ランプを適温に保つことができ、水フィルターによりランプから放射される赤外線がカットされるため、ワークの温度上昇を低くおさえることができる。水冷形ランプではランプ入力の約6割が水によって除去され、ワークの温度上昇は空冷形にくらべて約1/2に減少するため、熱に弱い材料への応用に適しているが、紫外線も水銀ランプの場合約9%、メタルハライドランプの場合約7%カットされるので硬化効率は悪くなる。図7に水冷ジャケットの透過率、図8に温度上昇の1例を示す。

【図6 水冷形ランプの構造】

【図7 水冷ジャケットの透過率】

【図8 被照射物の温度上昇例】
2-2 照射器(照射炉)
照射器は内部にランプを収納し、ワークに有効に紫外線を照射するもので、照射器本体と灯具から構成される。
照射器本体は灯具を内蔵し、ランプ点灯、シャッター駆動のための機器および冷却機構、安全機構を備えると共に外部への紫外線洩れを防止している。
灯具は灯体、反射板、ランプホルダー、冷却機構、シャッターなどから構成される。
反射板はランプより発生した光に指向性をもたせて、ワークに有効に照射することを目的としており、通常は高純度アルミ板を使用し、表面を電解研摩の後アルマイト処理を施してあるが、この処理方法の如何によって紫外線の反射率が大巾に変動し、硬化能力を左右するため十分な吟味が必要である。反射板の形状は大別すると、図9に示すような葉光形(楕円面)、平行光形(放物面)、拡散形(曲面、平面の組合せ)があり、いずれも採用するかは用途により検討を要する。

【図9 反射断面形状と配光板】
冷却機構は空冷形、水冷形に大別されるが、いずれもランプ、反射板、灯体、照射器内雰囲気温度を適温に保つことが目的である。
空冷形の照射器は図10に示すように、灯具を通して、1KW当り1~1.5m3/min 程度の排気を行う。水冷形の照射器は図11に示すように、水冷ジャケットおよび反射板に密着して固定された水冷パイプに水を流すことにより、ランプ、反射板などの温度を適温に保つ構造となっているが、照射器内雰囲気温度を下げるため、排気を行う場合が多い。空冷形、水冷形の他に空冷形ランプを使用し、反射板、灯体を水冷して、照射器内を排気するという方法も採用されているが、80W/cmをこえる高出力設計のランプには適用がむずかしい。

【図10 空冷形照射器断面形状】

【図11 水冷形照射器断面形状】
シャッター機構はUVシステムの構成上、ラインを停止した時にワークが照射器内にある場合のワークの焼損防止、ワークが流れていない時の照射面の過熱防止などの目的をもっており、ランプからの放射を遮断する装置である。
高圧放電ランプは一旦消灯すると、再使用までに約10分を要するため、ライン停止時にランプも消灯してしまうと、いちぢるしく作業性が悪くなる。シャッター機構には図12に示すようなものが使用されている。
上記のほか照射器には、異常温度上昇または風量を検知する、異常時保護装置、感電防止、紫外線被爆防止のためインタロック機構などの安全装置を備えることが望ましい。

【図12 シャッター方式】
2-3 冷却装置
冷却装置には空冷形(空冷装置)と、水冷形(水冷装置)がある。
空冷形は多翼送風機が使用されているが、これの選定は照射器およびダクトの損失を考慮した、静圧、風量を確保することが必要である。空冷装置の1例を写真1に示す。

【写真1 空冷装置】
水冷形は水冷形照射器への給排水を行うもので、水道水を使用しそのまま排水する方式と水冷却装置(チラー)を使用し、水を循環する方式がある。前者では水道水中の金属イオンが水冷ジャケットに付着しないようにするため、図13に示すようにイオン封止剤を注入している。循環式の場合は、循環水の汚れを防止するため、チラー、配管等にはすべて、ステンレスおよび樹脂製のものを使用する必要がある。循環装置には図14に示すように、水温検知装置、フロースイッチ、水量検知装置を備えている。

【図13 使い捨て方式】

【図14 循環方式】
2-4 電源装置
電源装置は電源部と操作部で構成される。
電源部は安定器と制御回路からなり、ランプの点灯、調光、シャッター、冷却装置、その他関連機器の制御を行う。
安定器は放電ランプを点灯するためには必ず必要であり、原則的にはランプ1灯に対し1台の安定器が使用される。水銀ランプ用としては、図15に示すような、絶縁形湯洩変圧器とコンデンサーを組合わせた進相定電流形安定器が、メタルハライドランプ用としては図16に示すような、絶縁形湯洩変圧器とチョークを組合せた違相形安定器が使用されており、いずれも調光機能を有している。安定器の1例を写真2に示す。
操作部は装置の操作および監視を行うもので、電源部とあわせて次のような機能を有している。
(1)ランプの点灯、消灯、調光
(2)ランプ点灯状態の監視
(3)各機器への電力供給および遮断
(4)各機器の運転状態の監視
(5)印刷機、塗装ラインと連動したシャッターの開閉
(6)漏電、過負荷、短絡による事故の防止
(7)機器の保護および安全の確保

【図15 水銀ランプ用安定器】

【図16 メタルハライドランプ用安定器】
注)水銀ランプにも使用できる。
電源装置の1例を写真3に、定格例を表2に示す。

【写真3 電源装置の1例】
(操作部一体形)
表2 電源装置の定格例
| 形 式 | 寸 法 | 入力電圧(V) | 入力電流(A) | 出力電圧(V) | 適合ランプ | ||
| A | B | C | |||||
| UB0041-3A(B) | 400 | 400 | 270 | 100 | 5.5 | 200 | H004-L21 |
| UB011-3A/BE-2 | 303 | 301 | 171 | 100(or200) | 13(or6.5) | 200 | H01-L212 |
| UB021-3A(B) | 400 | 430 | 615 | 1φ200 | 15 | 570 | H02-L21 |
| UB031-3A(B) | 450 | 480 | 780 | 1φ200 3φ200 |
18.5 3 |
570 | H03-L21、H03-L31 |
| UB041-3A(B) | 450 | 480 | 780 | 1φ200 3φ200 |
23 3 |
1,000 | H04-L21 |
| UB051-3A(B) | 450 | 480 | 780 | 1φ200 3φ200 |
29 4 |
1,000 | H05-L21 |
| UB061-3A(B)EI | 360 | 570 | 708 | 3φ200 | 40 | 1,000 | H06-L21、H06-L31 |
| UB0751-3A(B) | 500 | 630 | 1,000 | 1φ200 3φ200 |
45 6 |
1,000 | H075-L31 |
| UB121-3A(B) | 700 | 630 | 1,050 | 3φ200 | 80 | 2,000 | H12-L31 |
2-5 その他の機器
UVシステムには、以上に述べた他に搬送装置(コンベア)、照射中、照射後のワーク冷却装置、予備加熱装置などが必要となる場合がある。特にコンベアは照射器、電源装置と一体形で制作される例が多く、紫外線、熱線を直接うけるため、それなりの工夫が必要である。
3.UV装置導入のポイント
3-1 搬送方法、処理能力の決定
UV装置の仕様の決定にあたっては、まずUV装置の前後の装置も含めて、ワークの搬送方法と処理能力(生産量)を決定する必要がある。たとえば平面状のものであるか、立体物であるかによってランプの配列も異なってくる。また処理能力は使用するランプの大きさ、灯数に関係する。
3-2 ランプの選定
(1)ランプの種類(エネルギー分布)
使用しようとする塗料、インキなどに、どの種類のランプが適しているかを検討する必要がある。一般的には透明塗料、オフセットインキなど薄い膜には水銀ランプで十分であるが、エナメル塗料、スクリーンインキなど顔料のはいった比較的厚い膜に対してはメタルハライドランプが適している。
(2)ランプ入力
ワークの耐熱性、設置スペース、使用する塗料、インキの特性によって選定する必要があり、一般的にはインキに対して120W/cmまでは効率がよくなり、塗料に対しては80W/cm以上では効率の差がないようである。入力の低いランプの方が照射器内でのワークの最高温度を低くおさえることができるが、当然装置の設置スペースは大きくなる。
(3)ランプの冷却方法
ワークの耐熱性などを考慮して、空冷式にするか、水冷式にするかを決定する。強制空冷などの手段により目的が達せられれば、あえて水冷式を採用することはない。
(4)ランプの発光長、使用本数、配列
発光長はワークをランプ管軸と直角方向に流す場合はワークの巾よりも少なくとも100mm程度長いものを使用することが望ましい。ランプの管軸方向に流す場合は、硬化時間にみあったものであればよい。ランプの配列はワークの搬送方法、形状、大きさなどから決定する。たとえば平面状のワークの場合はワークの流れに対し直角にランプを配列し、立体物とか、小さいワークに対してはワークの流れ方向にランプを配列する。ランプの使用本数は装置の処理能力と、使用する塗料、インキなどの硬化時間との関連で決定する。
3-3 反射板、形状の選定
反射板の形状は、ワークの形状、耐熱性などから決定する。一般的には集光形が効率がよいが、20mmをこえるような立体物等にはその集光点での照射は不可能であり、このような場合は、平行光形か拡散光形を使用するか、集光形を集光点より長い照射距離で使用する。
3-4 照射距離の選定
照射距離はワークの耐熱性、有効照射巾などを考慮して決定する。照射距離が短い程効率がよいが、照射器内でのワーク温度は高くなる。図17に距離と硬化温度の関係を示す。

図17 照射距離と処理速度との関係】
注)反射板の形状によって若干異なる。
3-5 使用する塗料、インキなどの硬化速度の確認
使用する塗料、インキなどの硬化速度を、実際に設備化する状態になるべく近い状態で、確認することが必要であり、これが使用するランプ本数、設備の大きさを決定する。
4.UV装置の応用例
4-1 印刷関係
(1)シール印刷(凸版またはスクリーン印刷)
シール印刷機には平圧式(間欠連動)と輪転式(連続定速連動)とがあり、ワークは最大200mm巾の連続帯状のタック紙なので、いずれの場合もシャッター機構をもった1KW~3KWの空冷形、水冷形が使用されている。平圧式の場合はワークが間欠連動であるため拡散光形の照射器を使用する必要がある。輪転式の場合は集光式を使用する。(写真4、写真5)
(2)ビジネスフォーム印刷(凸版又はオフセット印刷)
ビジネスフォーム印刷機は輪転式で、ワークは一定速度で流れる。ワークは連続帯状の紙で、用紙巾は400~600mmであるため、発光長500~750mm、4~9KWのシャッター機構を持った装置が1~5台使用されている。(写真6)
(3)プラスチックフィルムの印刷(オフセット印刷)
プラスチックフィルムの印刷には輪転機が使用されており、ビジネスフォームの場合と同様であるが、耐熱性を考慮して、発光長1000~1250mm、12KW~15KWの水冷形シャッター付の装置が使用されている。
(4)枚葉★印刷(インキOPニス)
アルミフォイル紙、コートボール、プラスチックシートなどの印刷に応用されており、印刷機の内部または上部に組込まれたものと、コンベア形のものがある。一般的には空冷形の水銀ランプまたはメタルハライドランプを使用し、印刷機の大きさにより、発光長750~1400mm、9KW~22KWのランプが3~5灯使用されており、大部分はシャッター機構をもっている。プラスチックシートの場合は水冷形が使用されている。(写真7)
(5)金属印刷
金属印刷では単色機にコンベア形の装置を接続する方式と、多色機のユニット間にUV装置を設置し、最終工程で熱乾燥形のニスをコーティングして、従来の熱オーブンを通す方式があり、発光長1000~1250mm、12KW~20KWの空冷形ランプがユニット間に2~3灯、単色機の場合3~5灯使用されている。(写真8)

【写真8 金属印刷用コンベア形(空冷)】
(6)プラスチック成形品の印刷
プラスチック成形品の印刷には成形品の一面のみに印刷する場合と全局にわたって印刷する時がある。一面のみに印刷する場合は特別な工夫は必要でないが、全局に印刷する場合はワークの全周に紫外線が照射されるよう、搬送方法、ランプの配列を検討する必要がある。印刷方法には凸版オフセットとスクリーン印刷とがあり、スクリーン印刷の場合は水冷形が使用されている。(写真9)
4-2 塗装関係
(1)印刷物の表面コーティング
印刷物の表面コーティングは、ロールコーター、グラビアコーターなどで行われており、発光長1000~1250mm、8KW~15KWの空冷形水銀ランプを3~5灯使用したコンベア形のものが使用されており、予備加熱装置、照射後の冷却装置を備えている例が多い。(写真10)
(2)プラスチックタイルの表面コーティング
発光長500~1400mm、4KW~11KWの空冷形水銀ランプ1~6灯の設備が多い。
(3)プラスチック長尺床材の表面コーティング
連続帯状のワークであるためシャッター付の照射器が塗装機械に組込まれて使用されており、発光長2000~2250mm、16KW~18KWの空冷形水銀ランプ3灯程度のものが多い。(写真11)
(4)プラスチック成形品の表面コーティング
プラスチック成形品の印刷の項で述べた装置と同構造の装置が使用されているが、コーティングの場合は空冷形の水銀ランプが適しているため、ワークの冷却を行う必要がある。4KW~6KW、4灯~8灯の設備が多い。
(5)電線、グラスファイバー等へのコーティング
このような線状のワークに対しては、写真12に示すような構造の照射器が使用されている。
この照射器はランプを備えた三反射板とそれに対向した補助反射板とからなり、ワークの全周に紫外線が均一に照射される構造となっている。ランプは空冷形の水銀ランプが使用されており、比較的短いものを垂直状態で使用する。
(6)電子部品のコーティング
カーボン被膜抵抗器、コンデンサーのコーティングには4KW~9KW程度の空冷形または水冷形のメタルハライドランプが使用されており、立体物であるため全面に紫外線が照射されるよう工夫されている。
(7)その他のコーティング
上記の他、木工製品、釣竿、スキー、ビデオディスク、★管、鏡など種々の用途に使用されている。
4-3 接着、注形関係
(1)ガラス、プラスチックの接着
ガラス、プラスチックのはり合わせ又は金属等への接着では紫外線はガラス、プラスチックを透過して行われるため、短波長紫外の利用は無理である。したがってこの用途にはメタルハライドランプが効率よい。
(2)電子部品のプリント基板への接着
この用途の接着剤は着色されていることと、比較的膜厚が厚いためメタルハライドランプが適しており、2KW~12KWのメタルハライドランプが1~3灯使用されている。部品の耐熱性が問題となる場合は水冷形が使用される。
(3)注形
装飾用絵皿、アクセサリーの製造においては皿または型材に樹脂を数mmの厚さで注入して紫外線で硬化しており、1KW~1.5KW程度のバッチ式の装置が多い。
4-4 その他の用途
(1)電子部品のマーキング
抵抗器、コンデンサー、半導体などの電子部品のマーキングには1KW~4KW程度の空冷形水銀ランプが、コンベア形または製造ラインに組込まれた形で数多く使用されている。(写真13)
(2)プリント基板の製造
プリント基板の製造過程で、エッティングレジスト、ソルダーレジスト、マーキングインキの硬化に数多く使用されている。当初は空冷形水銀ランプも使用されていたが、最近では空冷形メタルハライドランプが主流であり、120W/cmのランプが3~4灯使われている。(写真14、写真15)
5.UV装置の選定
5-1 ワークの大きさ
ワークの大きさによりランプの長さが決定される。
1)ランプに横通しの場合(図6、8参照)
発光長の長いランプでは、電極から内側に50mm入った所から有効とみなす。但し、アーク長が375mm以上のランプの目安であり、正確にはグラフから読取る。

AとBのランプの最高強度を比べると約10%Aが低くなる。
2)ランプに縦通しの場合

3)バッチ式の場合(図5参照)

照射距離を離して集光の灯具を使う
5-2 設置スペース
UV装置は前後のラインから決定される事が多く、設置のスペースが制約される事がある。
例:ランプ1灯分のスペースしかないが、80W/cmのランプ2灯必要な場合は、160W/cmのランプ1灯を検討する。この場合、硬化条件や、温度条件が変わる事があるので注意する。
5-3 時間あたりの生産量、又は、前後のラインスピード
コンベアスピードや照射時間を決定するのに予め時間あたりの生産量、又は、前後のラインスピードを調べておく必要がある。又、コンベアスピードは、1分間あたりのスピード(m/min)で表わしているため単位に注意する事。
例:1日(8時間)の生産量が9600個でワークのピッチが100mmの場合のコンベアスピードを求める。

1分間あたりの生産量を求める。
9600(個)÷(8(時間)×60(分))=20(個/min)【1分間に20個生産】
100(mm)=0.1(m)
20(個/min)×0.1(m)=2(m/min)
コンベアスピードは2(m/min)
硬化に必要な積算光量より、コンベアスピード2(m/min)以上のスピードで硬化させるためのランプの灯数、ランプ出力が決定される。
5-4 硬化条件
1)ランプの種類
水銀ランプ
透明塗料、薄い膜、コーティング
メタルハライドランプ
顔料の入った(色物)比較的厚い膜
スクリーン印刷、オフセット印刷、ビジネスフォーム印刷、シール印刷
接着、注型、マーキングは、場合によりランプが決まる。
2)硬化に必要な積算光量を求める
積算光量が決まる要素
ランプの種類
ランプの出力
ランプの長さ
照射器の種類
照射距離
コンベアスピード、又は、照射時間
入力電圧
熱線カットフィルタの有無
3)積算光量以外で硬化が変わる条件
強度が高いほど硬化が良くなる事がある。
熱線カットフィルタにより硬化に必要な波長がカットされる事があり、フィルタの無いときより光量を多くする場合がおおい。
5-5 温度条件
低温キュアーが要求されることが多く、温度対策をする必要がある。
1)コールドミラー
2)熱線カットフィルタ
3)送風(風速による影響が大きい)(図9参照)
4)照射距離を上げる(図7参照)
5)ランプとランプの間に中間冷却を行う
6)スポットクーラ(図9参照)
6.実習
6-1 マーキング
水銀ランプ縦通し
金属とプラスチックで硬化の違いをみる。
有効照射幅を調べる。
判定 爪、溶剤、テープテスト
6-2 接着
水銀、メタハラ縦通し
ランプの違いによる硬化をみる。
判定 タック、硬度、密着
6-3 スクリーン印刷
1R+メタハラ横通し
1Rにより密着があがる
判定 テープテスト、クロスカットテスト、えんぴつ硬度
6-4 コーティング
水銀ランプ横通し
判定 テープテスト、えんぴつ硬度
7.UV装置仕様決定
7. テストを行った結果より装置の仕様を決定する。
内容(参考件名がある場合変更点のみ記入でも可)
コンベアスピード: ~ m/min
用途:テスト用,生産用
バスライン規制:無,有 mm
搬送方式,寸法:
ワーク寸法,重量,形状,照射面
コストランク:標準,廉価型
照射器
仕様ランプ,切換:
照射距離:固定,可変 ~ mm
ワーク冷却:無,有
電源: V, Hz
全長規制:無,有 mm
流し方向:標準(左・右),その他
ベルト試行調整:無,有
塗装色(日塗工):
周囲環境条件:一般,その他
上下方法:平板,ネジ,ハンドル
フィルター:無,有
■照射距離と強度の関係
| 測定番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 積算光量(mJ/cm2) | 583 | 552 | 521 | 487 | 442 |
| 最高強度(mW/cm2) | 459 | 183 | 119 | 85 | 61 |
88/08/03 図1
スイギンランプ 80W/cm
コールドミラー ショウコウ
コンベアSP 2m/min
H04-L21

■照射距離と強度の関係
| 測定番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 積算光量(mJ/cm2) | 873 | 822 | 791 | 743 | 677 |
| 最高強度(mW/cm2) | 695 | 279 | 174 | 121 | 90 |
88/08/03 図2
スイギンランプ 120W/cm
コールドミラー ショウコウ
コンベアSP 2m/min
H06-L31

■携帯電話塗装用UVシステム
<ケース1 スピンドル搬送>(1治具2ケセット)

(条件)
ラインスピード 3m/min
必要光量 1200mJ/cm2(at365nm高圧水銀ランプ)


(ランプ設置)
ワーク流れに対し平行に2灯設置する。
この2灯によりL120mm(高さ含む)のワークをカバーできる。
(1灯は斜め上より、1灯は斜め下より照射する)
この時、照射距離は約250mmあける。
(ランプセンターよりワーク面まで)
(ランプ容量)
ランプ縦通しで発光長500mmの光量は1532mJ/cm2ですが(別紙データー(1)参照)
ワークが自転しているため約3倍の灯数が必要です。
発光長500mmで120w/cmタイプだと6Kwとなります。
ランプレイアウトは6Kw×2灯で3ゾーンとなります。

(ランプハウス)
コールドミラー空冷集光が標準的です。
オプションで熱線カットフィルターを取付ける場合もあります。
(装置構成)
・ランプ
・ランプハウス
・照射炉
・給排気ブロアー
・電源装置
<ケース2 ワークトレー搬送>

(条件)
ラインスピード 3m/min
必要光量 1200mJ/cm2(at365nm高圧水銀ランプ)
(ランプ設備)

ワークの流れに対し直角でかたむけて設置する。
この時照射距離は約250mmあける。
(ランプセンターよりワーク面まで)
(ランプ容量)
コンベアー流れに対し有効幅が600mmですのでランプの長さは(発光長)は600mm+150mmと考えます。
したがって
発光長750mmで120w/cm=9Kwとなります。
(樹脂成型品の用途では一般的に120w/cmのランプを使用します。)
ランプ1灯当たりの積算光量は約540mJ/cmです。(別紙データー参照(2))
したがいまして
1200mJ/cm2÷540mJ/cm2≒2.2=3灯となります。
(ランプハウス)
コールドミラー、空冷、集光が標準的です。
オプションで熱線カットフィルターを取付ける場合もあります。
(装置構成)
・ランプ
・ランプハウス
・照射炉
・給排気ブロアー
・電源装置
■参考データ1
| 測定番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 積算光量(mJ/cm2) | 4294 | 2023 | 1532 | 1237 | 1025 |
| 最高強度(mW/cm2) | 472 | 188 | 132 | 99 | 75 |
96/05/30
スイギンランプ 6KW120W/cm
コールドミラー ショウコウ
コンベアSP 3.0m/min
タテドウシ

■参考データ2
| 測定番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 積算光量(mJ/cm2) | 700 | 601 | 547 | 510 | 466 |
| 最高強度(mW/cm2) | 795 | 189 | 132 | 99 | 76 |
96/05/30
スイギンランプ 6KW120W/cm
コールドミラー ショウコウ
コンベアSP 3.0m/min
ヨコドウシ


